百周年をめざし奉賛会の興隆を
(2019年06月13日)
美保大國神社奉賛会
昭和4(1929)年に、島根県美保関町の美保神社の分霊を迎えて創祀された美保大國神社。同年に始まった「高崎恵比寿講市」は、昨年の平成30(2018)年に90回目を迎えた。美保大國神社を興隆護持する奉賛会は会員が減少しており、100周年に向け、「高崎商人の手でお祀りした美保大國神社を守っていきたい」と、奉賛会の岡本隆司会長は新会員の募集や奉賛会存続への支援を呼びかけている。
会員減少と高齢化に危機感
美保大國神社奉賛会は、正月三が日や11月の高崎えびす講市での御守り・おふだ等の販売、毎月1日・15日の清掃を主な活動としており、会費はない。神社でのボランティア活動といえそうだ。「自分にできる範囲で活動してもらえます。神社の仕事はなかなか経験できないので、やりがいを持って楽しみながら活動してもらえると思います」と岡本会長は話す。
奉賛会の会員数は現在のところ9人で、高齢化が進んでいる。平成10年頃までは15人から20人の会員がいたが、減少傾向にあり、この10年で10人ほどに減少してしまった。
会員の年齢は70代から80代で、退職後のボランティア活動として元気に活動されている会員も多い。その一方で岡本会長は「ご高齢の会員も多いのであと数年で大変に厳しい状況になると思います」と将来的な心配を持っている。
高崎商人が愛着を持つ神社
美保大國神社は、高崎商人が昭和の大不況を乗り越えるために勧請し、えびす講市の発祥となる意義深い神社。岡本会長も中央銀座商店街で小売店を営んでいた高崎商人の一人。高崎に生まれ育った岡本さんは、えびす講市のにぎわいが心に刻まれている。岡本会長は「美保大國神社の参道と言える場所に私の店がありましたので、神社には愛着を持っていました」と商都高崎の歴史にも思いを馳せていたそうだ。
岡本会長は美保大國神社奉賛会の会員数が減少していることを聞き、平成23年に奉賛会に入会した。当初は店の営業や商店街活動の合間に奉賛会の活動に参加し、何年かのうちに会の活動がつかめてきたという。その後、平成26年から会長をつとめている。
商都のシンボル「恵比寿様」を次代に
美保大國神社の例大祭は、恵比寿講市に合わせて開催されている。創建当初は毎年11月19日・20日に定められ、近年は11月の第三土曜日、日曜日に開催日が変更されている。美保大國神社は、5年に一度、本宮から宮司を迎え、昨年は創建90周年の慶祝となった。また高崎からも本宮にお参りに行き、会員ほか30人ほどでの参詣となっているそうだ。
高崎えびす講市オリジナルの縁起物として、美保大國神社で高崎名物「めをとえびす」(2,000円)を頒布販売している。「えびすさま=事代主命」と「玉櫛姫命」の縁起物で、高崎だるまと同様に、昨年のものを納め、新しいものを買い求める習わしになっている。
高崎えびす講市の開催に合わせて、高崎駅中央コンコースには大きな恵比寿様が置かれて、えびす講シーズンの到来が話題となっている。
恵比須様は、高崎商人の商売繁盛の神様であり、商都高崎のシンボルと言えるだろう。そのバックボーンとなるのが美保大國神社であり、岡本会長は「なんとしても美保大國神社を守っていかなければならないと思います」と話す。美保大國神社への関心を高め、「次代につなげていけるように会員を増やしていきたい。皆さんのご協力をお願いします」と呼び掛けている。
美保大國神社と高崎恵比寿講市
世界経済恐慌下で景気挽回、商業振興の方策として高崎神社にまつられている大国神社を修築し、あわせて島根県美保関町の美保神社の分霊を迎えて、これを機に大廉売市をやろうという計画が高崎の商人の中から沸き起こった。
美保神社の分社を高崎神社に境内に新築し、恵比寿大黒天を安置し崇敬することになった。
青木道市長は、昭和4(1929)年5月、美保神社宮司宛に分霊手続きを問い合わせ、高崎神社宮司高井東一が交渉した。同年9月27日、寺田永四郎、松島新七郎、清水浜吉らは美保神社に代参し、奉製した御霊籤を特製の唐櫃に奉安し高崎駅に到着、とび職連を先頭に芸妓連は手古舞姿で木遣音頭で大通りを練って高崎神社へ練り込み、同神社境内の仮殿に奉安し大国神社と共に奉斎式を行い、青木市長らが玉串を捧げた。神社の新築、祭典費は1万5千円の予算で寄付でまかなった。
11月19、20日の両日、高崎実業組合連合会主催、高崎市、高崎商工会議所後援で第1回の「大恵比寿講廉売市」が「売るか、くれるか」のキャッチフレーズで行われた。好天に恵まれ、呉服、洋品、金物、生鮮食品などの商品が破格の値引きで販売された。
恵比寿講は年々盛大になり、関東の名物行事となった。高崎えびす講市は、商業イベント、観光イベントとしてにぎわっており、「熱血!高校生販売甲子園」など若い人たちのアイディアを取り入れた事業も実施されている。
高崎商工会議所『商工たかさき』2019年5月号