活性化する高崎の健康ビジネス(1)

(2019年04月30日)

小規模多店舗も顕著

「使用前・使用後」の体型の変化が話題のパーソナルジム、浴室・サウナ、プールなどを併設した大型フィットネスクラブ・スポーツジム、トレーニングマシンのみの安価な料金設定の小規模チェーン店など、様々な形態の施設が高崎市内で見られている。また個性派ジムやホットヨガなどの個人経営店も街かどに増えており、高崎の健康ビジネスが活性化している。

いつまでも健康に暮らしたい

日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性は87.26歳で過去最高を更新した(平成30年厚生労働省)。

介護を受けたり寝たきりになったりせず、日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」は、平成28年の調査で男性72.14歳、女性74.79歳、同じ年の平均寿命と健康寿命の差は男性8.84年、女性12.35年となっており、平均寿命と健康寿命の差の約10年間は、介護などが必要となる期間となる。

運動習慣は、身体機能の維持向上、生活習慣病のリスク低減、認知症予防や心の健康にも効果があるとされており、世界有数の長寿国となった日本において、医療費・介護費の増加を抑えるためにも健康寿命の延伸は国を挙げての課題となっている。

 

シニアの健康志向でフィットネスクラブ増加

運動習慣の重要性は浸透し、週一回以上運動・スポーツをする成人の割合は51.5%(スポーツ庁・平成30年)となり、前年よりも9%増となっている。なかでも70代は70%を超えている。

経済産業省の「第3次産業活動指数」で見ると、「フィットネスクラブ」は上昇傾向で推移している。

また、平成26年の1世帯当たりの年間支出金額では、世帯主が60歳代の世帯はスポーツ施設への支出金額が7,194円と各年代の中で最も多くなっている。

フィットネスクラブへの支出金額や会員数に占めるシニア層のシェアが高まっている背景には、60歳以上の年齢層の拡大や、スポーツ志向、健康志向の高まりがあるといえる。年齢が高くなるにつれて、健康に対する出費に積極的な傾向も見られる。

シニア層の需要が高まる中、フィットネスクラブでは介護予防の効果に着目したサービス提供が盛んに行われるようになってきた。リハビリとフィットネスの融合を目指した機能訓練施設の開設、コンビニエンスストアと連携した健康管理サービスの実施、スポーツクラブ型のデイサービス、自治体の介護予防事業の受託、医療機関と連携したサービスなどがある。「健康産業」として成長し、「医療、福祉」、「施設介護サービス」に近い存在と見ることができる。

トレーニング施設は、行政による生涯スポーツ、社会スポーツとして運営されているケースもあり、高崎市においても、浜川プールトレーニングルームやサンライフ高崎がある。

 

都市部の小規模・多店舗展開が顕著

群馬県内のフィットネスクラブ数を市町村ごとに見ると、高崎市が16事業所と最も多く、従業者も多い。フィットネスクラブの事業所数、利用者数、売上金額と人口は相関関係があるとされ、高崎、前橋、伊勢崎、太田など都市部に集中している。

シニアをターゲットとしたフィットネスクラブは地域密着型が多いようだ。幅広い年齢層を狙い、ブランド感を持つクラブは広域的に集客している。

フィットネス業界の経営情報誌『フィットネスビジネス』は、100坪以下のフィットネスクラブ・ジム施設となる小規模業態の増加が著しくなっていることを取り上げ、平成28年に国内で新設された施設のおよそ8割が小規模業態であるとしている。

その一番の理由としては、65歳以上が人口の27.7%(平成30年版白書)を占める超高齢社会にあって、「元気で長生き」を求める高齢者の健康への意識が高くなっている一方で、まだまだ施設数が少ないという現状を挙げる。

小規模フィットネスの拡大理由は、①ビジネスチャンスを逃さずに迅速に施設を展開するために、多大な投資を避けリスクの少ない物件を扱う。②小規模のため出店候補地を見つけやすい。③FC展開により規模の拡大をしやすい―などがある。既存のフィットネス企業による新業態の出店や異業種からの新規参入など、小規模業態・多店舗化が活発化している。

 

高崎商工会議所『商工たかさき』2019年4月号

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