時代をとらえた電動起立補助椅子 馬場家具
(2018年10月29日)
たかさき産業祭2018ものとぴあ特集
高崎発のソファブランド
ソファメーカーの馬場家具は、立ち上がり動作を電動でアシストする椅子「楽いす楽座」を産業祭に出展し、この製品と同社のものづくりを紹介する予定だ。
1929年(昭和4)創業の馬場家具は90年近い歴史を持つものづくり企業だ。古くは木工所として学校の机などを製造していたそうだが、現在はソファ、いわゆる応接セットの専門メーカーとして「INTERLIVAX」ブランドを展開している。
素材やサイズを選べるオーダーメイドソファを基軸に、スピーカ内臓で音響を体感できる「ボディソニック搭載シアターソファ」、電動リクライニングソファといった幅広い商品を揃えている。
品質面では革や木材に徹底的にこだわり、高崎の工場では完全受注生産で一つひとつの製品を手づくりしている。
お客様の声から新しいソファにチャレンジ
馬場家具では、ソファづくりを通じて快適で質の高い生活を提供することをコンセプトに、市場のニーズに合わせ、お客様の声を取り入れた製品開発に取り組んでいる。「ソファはお客様の暮らしと人生に寄り添っている。ソファづくりを通じてお客様の人生を見つめてきた」と同社は語る。
高齢者や障害を持った人など、椅子に座ったり椅子から立ち上がったりするのが大変な人たちの要望を受け、電動で起立動作を補助する「楽いす楽座」は開発された。
ライフスタイルに合った快適機能
高齢化社会が進み「ソファや椅子から立ち上がるのが大変になった」という高齢者の声が、「楽いす楽座」の開発のきっかけとなった。特に和室では、座椅子から立ち上がるのにとても苦労している人もいる。また一人暮らしの高齢者が増加し、家族の介助が得られない状況も広がっている。
椅子に座った状態でスイッチを入れると、電動で座面がゆっくりと上昇し、立ち上がる動作ができる高さで停止する。この停止位置では座面が少し前に傾き、動き出しやすい姿勢をとることができる。この座面の傾き加減がこの製品のポイントで、同社の特許技術になっている。実際に座って試してみると、本当に立ち上がり動作がしやすい。
馬場家具ならではの工夫
馬場家具は電動リクライニングソファを手がけていたので、椅子に電動モーターを組み込むノウハウを持っていた。改良を重ねて、日本人のライフスタイルに合わせた座椅子やソファなど5機種を販売している。高齢者の自立を支援し、福祉用具情報システム(TAIS)に2機種が登録され、介護保険を利用した福祉用具のレンタル品目になっている。
開発にあたって製品の安全対策には、特に力を入れたそうだ。「安心安全については、細部までつきつめ、そこまでやるのかというところまで取り組んだ」という。TAIS登録された2機種はバッテリーパックを搭載しているのでコンセントのないところでも使用でき、配線コードに足をひっかける心配も軽減できる。
一般に介護用品等は機能優先で、デザイン面は重視されない傾向もあるようだが、馬場家具の「楽いす楽座」はソファメーカーとして意匠性も優れ、「ライラック」という機種は2014年グッドデザインぐんま大賞を受賞している。
「もっと、もっと」でチャレンジ
「長年にわたって蓄積したソファづくりのノウハウを生かし、チャレンジしていくのが馬場家具の特徴」と同社は語る。
「楽いす楽座」のようなアシスト機能を備えた椅子は製品例が少なく、都内で行われた見本市に馬場家具が出展した際には、「欲しかった椅子をやっと見つけることができた」と喜ぶお客様に出会えたという。そのお客様は新潟県在住で障害を持ち、自分の希望に合う椅子を探し、全国を回っていたそうだ。
「他社にはない馬場家具独自の特徴をアピールしていきたい」という。「もっともっと、いいものを作っていきたい」「もっと、もっと先へ進みたい」という「もっと、もっと」の気持ちを馬場家具は共有しているそうだ。
株式会社馬場家具
■馬場 万亀彦社長
■本社ショールーム 高崎市上並榎町483 TEL.027-361-0711
■浜川工場・大阪支店・仙台営業所・名古屋営業所・ 九州営業所・札幌出張所
■関連会社Livax Vietnam Co.,Ltd
高崎商工会議所『商工たかさき』2018年9月号