髙崎唱歌

散歩風景 16

吉永哲郎

唱歌の17番は、「空にたなびく煤煙は 常盤歌川並榎町 中に聳ゆる煙突は 地方に名高き鉄工場」です。常磐町の交差点(四つ角)に以前交番がありました。ここに江戸時代の赤坂の木戸(上(かみ)の木戸といわれた)があって、その番所が長松寺大門脇にありました。やがて常盤町へ移され、その番所跡に交番が明治になって設けられたといわれます。現在の山田文庫付近です。
常磐町の四つ角に「旧中山道(オールド・ナカセンドウ)」の道路標識があります。赤坂の坂を直進すると、烏川の堤防(上は国道17号線)に突き当たり、堤防下にコンクリート造り下水道に架かる短い常葉橋がありますが、この堀は江戸時代「吉兵衛堰」と「田村車堰」とが連なった水車小屋がある用水路で、田圃風景が広がっていたところです。
現在は国道を横断することはできませんが、堤防を上がると烏川と碓氷川に架かる長い八千代橋に通じました。乗附から藤木を経て富岡に通じる道に通じ、市内と乗附への便利な橋でした。
常磐町は江戸時代赤坂付近から分村して出来た町で、街道筋に当たり、旅人の往来が多いので茶店などが軒を並べていたと伝えられています。
旧中山道筋の歌川町は「鍋屋銅鉄鋳造所(小島鉄工所)があり、日夜数百の職工を使役し(中略)清水、穀新の米穀商、鑞山酒醤油店(美峰酒類)等ありて」と「高崎市案内」に記されているように、市内で一番の働く人の往来が多いところでした。最近、街風景が大きく変わりつつあります。

(2018年8月稿)

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