アートと散策を楽しむ
(2018年05月30日)
染料植物園で高崎出身の作家展
九州・四国などから梅雨入りの便りが聞こえてきたある平日の午前中。観音山丘陵にある高崎市染料植物園のひびきばし入口付近で、青い紫陽花の花々を見つけた。小雨がぱらつく中、青空を移したような紫陽花はしっとりと新鮮な輝きを放ち、清々しい癒しを与えてくれる。
高崎市染料植物園では、6月10日(日)まで『葉画家 群馬直美の葉っぱたち展』を開催している。緻密に描かれた実物大の葉っぱや花、木の実が、みずみずしく色鮮やかで、葉っぱ1枚1枚に向き合い、ありのままを丹念に描いた作品からは、作家の自然を愛でる温かいまなざしが伝わってくる。今回の展示は、同植物園でも見られる染料植物を描いた作品を中心に紹介しながら、草木染の資料も展示するなど、植物の持つ生命力を感じることができる。
群馬直美さんは、高崎市出身。東京農大二高を卒業後、東京造形大学絵画科へ進学。大学在学中に、新緑の美しさ、葉っぱの生命力に深く癒された経験から「葉っぱ」をテーマに創作活動を始め、1991年にテンペラ画技法と出会い、現在の作風に至っている。
テンペラ画技法とは、顔料を卵や膠(にかわ)などで練った絵具で描く、西洋の伝統的な絵画技法。水性でありながら、乾くと耐水性になるので、細かい描写が可能だ。
館内には平日にもかかわらず、周辺の散策の途中に立ち寄った人たちなど、中高年のご婦人方の姿が目立った。
高崎市染料植物園は、日本の染織文化やその魅力を染料植物とともに紹介する全国でも珍しい施設。染料植物の道を歩いたり、草木染や藍染のワークショップを体験したり、展示室では日本人の色に対する美意識の高さを知ることができたりと、いろいろな楽しみ方ができる。
■高崎市染料植物園
高崎市寺尾町2302-11
開館時間:午前9時~午後4時30分(最終入館は午後4時まで)
土日祝日は午前9時~午後6時(最終入館は午後5時30分)
休館日:「葉画家 群馬直美の葉っぱたち展」の休館日は6月4日(月)
入館料:一般200円、大高生150円
※葉っぱ割引――葉っぱや植物模様の服、スカーフなどを身につけて入館すると、入館料が団体割引になる。一般160円 大高生 120円
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