エリアリノベーションで 変わり始めた本町通り

(2018年05月25日)

「空き店舗」が「核店舗」に

今、空き店舗が増えた通りなどを集中的に再生させていく“エリアリノベーション”によるまちづくりが全国各地で行われている。一つの建物に新たな価値を与えるリノベーションをエリア全体に広げていくことで、まちに賑わいを取り戻し、不動産価値も向上させる効果があると期待されている。

老舗と土蔵のある街並みがかつて高崎のまちの中心だったことを感じさせる本町通り。歩道は整備されたものの、通りには空き店舗が目立つようになってきた。高崎市が策定した第二次中心市街地活性化基本計画では、その計画外となっており、“まちなか”ではなくなってしまった本町だが、使われなくなり残された建物は、築100年近いものもあり、価値のある場所も多い。

そんな本町通りで、“エリアリノベーション”が始まりつつある。通りをぶらり歩きながら、新たなまちの動きを見ていきたい。

 

ビール片手に本を選べる新刊書店

フリーランスデザイナーの荻原さんが営む新刊本と手づくり小冊子のzine(ジン)を販売する『REBEL BOOKS』。店主がセレクトしたデザイン、食、音楽などの本が並び、ビールやコーヒーを飲みながら本を選ぶこともできる。2階のイベントスペースでは、デザインやファッションなどをテーマにした展示会なども開催されている。

小さな店内だが、来店する人の興味の幅を広げてくれそうな本と出合える

  • REBEL BOOKS
  • 所/椿町24-3 ●営/12:00〜20:00 ●休/水
  • HP/http://rebelbooks.jp

 

こだわりのスイーツが若い女性に人気

ランチタイムには女性客で賑わう本町三丁目の角にある『PIECE CAFÉ』。2年前に25年近く眠っていた建物がリノベーションで生まれ変わった。人気メニューは季節のフルーツを使ったパフェや嬬恋の有機生乳を使ったこだわりのソフトクリーム。できるだけ地元食材を使うことを心掛けた料理も「ヘルシーで美味しい」と好評だ。

まちの入口にあたる大切な場所にある3階建てのビルをリノベーション

  • PIECE CAFÉ
  • 所/本町64-1 ●営/12:00〜21:00(金・土・祝前は〜22:00)
  • 休/水 ●SNS/フェイスブック、インスタグラム

 

自社焙煎の豆とジェラートのコーヒースタンド

桐生で古民家と工場跡でカフェを運営する人気店の高崎店で2月にオープン。まちごと屋が手掛けた「本町しもたや」の1F。薬局だった場所をリノベーションした店舗は町家の風情を残す。桐生で自社焙煎した珈琲を店内で飲むことはもちろん、豆で買うこともでき、早くも定期的に買いに来る常連客もいるという。

珈琲の香りで満たされる店内は薬局だった当時の雰囲気を残す

  • 伊東屋珈琲高崎店
  • 所/本町120 1F ●営/10:00〜18:00 ●休/水
  • HP/http://www.itoyacoffee.com

 

エリアリノベーションの核となる会員制シェアリビング

会員制シェアリビングとして2月にオープンした『本町しもたや』。会員なら24時間365日利用可能というスペースには、仕事帰りや休日に自由な時間を過ごす会員の姿がある。築90年以上の建物の魅力を生かした低コストのリノベーションには反響が大きく、全国から視察が来ている。

大部分をまちごと屋スタッフが自ら施工したシェアリビング

  • 本町しもたや
  • 所/本町120 2F ●営/24h ●休/無
  • HP/http://machigotoya.jp

 

全国の作家の器などライフスタイルを提案

建築士と料理家の二人が“暮らし”を提案するギャラリーのようなお店として2013年に開業した『matka』。常設のもののほかに、全国の作家による器や衣類、雑貨などの展示販売などを行っている。暮らしに豊かさを与える道具として、作家の思いを丁寧に伝えるお二人に会いに、県外から訪れる人が多い。

かつて造り酒屋の店舗だった場所をリノベーションした店内

  •  matka
  • 所/本町122 ●営/11:00〜19:00 ●休/火・水
  • HP/http://matka122.com

 

まだまだある本町界隈の魅力あるお店

本町の界隈には、他にも魅力的なお店がある。創業160年の老舗「水村園」には国登録有形文化財のレンガ蔵や市内最古の水栓柱があることで知られる。土蔵のカフェ「もぎたて完熟屋」では倉渕産の食材を使ったランチなどが人気だ。『REBEL BOOKS』の周辺には、ゲストハウスを併設するカフェ「灯り屋」や築90年の古民家を活用した「椿食堂」など、魅力的なお店が点在する。

高崎駅から徒歩20分ほどのこのエリアにリノベーション事例が集まるのは、商店街の中に眠っている建物の多くが、まだ十分に利用できる状態だからだ。また、家賃相場も駅近くと比較すると低く、出店しやすいという環境にある。狭い範囲の中に魅力的なお店が集積することでエリアの価値が高まっていくことが期待される。

高崎商工会議所「商工たかさき2018年5月号」

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