カワウ・サル・イノシシで被害
(2015年09月17日)
被害削減に多面的な施策
高崎市は、9日の高崎市議会一般質問で、追川徳信議員の質問に答え、有害鳥獣の現状と対策について示した。カワウ、サル、イノシシの生息数が高崎市内でも拡大している。
●カワウ=県内の半数が高崎に生息か
高崎市によればカワウの状況は、昭和40年代はまれに飛来するとされていたが、平成10年頃から、飛来数が急激に拡大し、1千羽前後が県内に分布すると見られている。カワウは翼を広げると130cmほどの大きさになり、旺盛な食欲で、1羽が一日500gの魚を捕食するといわれ、放流したアユへの被害が出ている。
繁殖地は県内に4カ所あり、そのうちの一つが吉井地域の南陽台。今年7月の調査で個体数は491羽、営巣数は60を確認。また、ねぐらは県内9か所で確認され、市内は鳴沢湖がねぐらとなり、154羽(平成26年12月調査)が確認されている。市内では鏑川、烏川、碓氷川が採食地となっており、県内全域の捕食量は152トン、金額で1億4500万円の被害が推計されている。
上州漁業組合が、アユの放流から漁の時期に花火等による追い払い、鳥が嫌うテグス張りなどの対策に、市が支援を行っている。箕郷地域では捕獲隊により20羽程度を捕獲している。一日に40kmと長距離を飛ぶため、広域的な対策が必要となっているという。
●倉渕にサルの大群
高崎市によれば、平成26年3月までの調査で県内のサルの生息数は、群れが80、個体数は3255頭が確認され、年々増加傾向にあるという。平成25年度の被害金額は県全体で2200万円。
倉渕地域で確認されている群れは4群で、150頭が生息している。最近は榛名地域でも出没が確認されており、市は追い払いで、榛名地域への侵入を防いでいるという。
倉渕地域の4群の状況では、相間川集団50頭は、相間川上流域を活動領域としており、農業被害はあまり見られない。
被害を発生させているのは月並群、桑本A群、桑本B群。月並群は20頭ではまゆう山荘から川浦地域を活動領域としている。桑本A群、B軍は頭数が増えたために群れが分裂して形成されたもので、A群は30頭で烏川西側、B群は50頭で烏川東側を活動区域としている。B軍はまれに榛名地域まで移動することがある。野菜やイモ類などに農業被害があり、被害額は約220万円。
市は猟友会による捕獲を行っているが学習能力が高く逃げてしまうので、年間に10数頭の捕獲数となっている。群れの動きを把握するため、2群のメスザル3頭に発信機を付け、職員が定期的に受信機で追跡し、行動範囲を注視している。専門家による調査をもとに地元と話し合い、被害の削減に取り組んでいる。
●イノシシ被害削減に力を入れる
イノシシは昭和60年頃から頭数、生息域がともに拡大し、県全体の農林被害額は年間1億円超となっている。また市では農林従業者の生産意欲の低下や中山間地域に生活においても無視できない状況に及んでいるとしている。
高崎市では、群馬地域、新町地域を除く市内各地域で被害が確認され、平成26年度の被害額は、高崎地域が約111万円、榛名地域では約358万円など、合計約577万円となり、市内の鳥獣被害額では最も多い。捕獲や農地等への侵入防止、野生動物が農地に出没しにくい環境づくりなどの対策を行っている。
高崎市は、25年度から県内一の捕獲費を措置し、捕獲頭数に効果を上げ、平成25年度が264頭、平成26年度は440頭に増加した。防護柵は設置希望農家に資材の補助を行っている。大規模なものは、23年度に倉渕岩氷地区で高さ1・8m、延長4・8kmのネットフェンスを設置。中小規模のものは、昨年度までに電気柵など合計延長69・8kmが設置されている。平成25年度から里山元気再生事業の実施で、地域住民により、2年間で41地区、9・7haの竹やぶ、里山の整備が行われた。また電気柵の設置状況を市が調査したところ、適切に安全確保がはかられていた。
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