8500首の短歌が集まる

(2016年12月6日)

吉野秀雄賞受賞者
吉野秀雄賞受賞者

吉野秀雄顕彰短歌大会

 第15回吉野秀雄顕彰短歌大会の授賞式が11月26日に高崎市総合福祉センターで行われた。この短歌大会は、高崎が生んだ歌人・吉野秀雄の偉業を顕彰するとともに短歌文化、地域文化の振興をはかるもので、毎年開催されている。
 今回は、一般の部が163首、学生の部では小中学生が5452首、高校大学生が2895首、合計で8510首の応募があった。小中学校は市内67校から作品が寄せられ、子どもたちが短歌づくりに親しむ機会となっている。
 授賞式では、第15回記念として吉野秀雄の甥にあたる金井道夫さんが講演し、吉野秀雄の思い出を語った。
 主な優秀作品は以下の通り。敬称略。
 
 
 
 
 
 
●一般の部
吉野秀雄賞
この世では聞けない姉の声若し携帯電話に残る声聞く(濱野シズ江)
高崎市長賞
天井の木目の数は変わらぬと十四年間身じろげぬ夫(湯浅茂子)
高崎市議会議長賞
曲家の天窓より日は射していろりの煙青く昇れる(田村鶴子)
高崎市教育長賞
夫と行きし津和野の旅の思はるる萩の茶碗の手に温かき(深澤巴)
高崎市文化協会長賞
頬紅が仄かに匂う顔をして今どこに居る棺の娘(秋山充利)
群馬県歌人クラブ会長賞
「もう歳だ」卒寿の夫のつぶやきを聞こえぬふりで散歩に誘う(中村齢子)
ラジオ高崎社長賞
生きおれば夢果つるなし孫結婚・曽孫就学春の待たるる(吉澤八千代)
 
●学生の部
吉野秀雄賞
癌という病乗り越え夏の日に伸びゆく母の髪とヒマワリ(五十里義哉)
嘘ばかり溢れかえっている町でやさしい嘘を吐こうと決める(阿部圭吾)
高崎市長賞
指先に流れる汗の冷たさにクラリネットの音をたやさず(飯塚暖菜)
誕生日選んで買ったマフラーを暖かくても巻いていく母(田中美羽)
高崎市議会議長賞
しゅくだいの山をはんぶん登ったよ大声出してあと半分だ(中澤歩香)
靴下をぬいでみたけどはいている日焼けの跡に家族が笑う(冨澤桃次郎)
高崎市教育長賞
大会の朝に囲んだ食卓へそっと置かれた母の手紙よ(濱名和樹)
父の日にあげるものなく手紙書くお礼言われて照れてる私(松田こなつ)
高崎市文化協会長賞
地引きあみあみを引くうで力こぶ海とつなひき魚もおどる(小松美羽)
痩せるため必死に坂にアタックも匂いにつられる祖母の夕飯(町田怜美)
群馬県歌人クラブ会長賞
まき貝を岩からはずし見てみればおくへおくへと体をしまう(江原朔玖)
家帰り「ただいま」言うが応えなしふと恋しくなる家族の「おかえり」(佐藤佳奈里)
ラジオ高崎社長賞
明日から一人暮らしをする兄とながめる桜少し寂しく(高橋晃希)
あの日から八年たった今でさえ父の背中を探し続ける(永井亜依)

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