第37回高崎映画祭 最優秀主演俳優賞・最優秀助演俳優賞

(2024年01月18日)

最優秀主演俳優賞 岡本玲
最優秀助演俳優賞 中村ゆり 『市子』川辺なつみ役 © 映画「市子」製作委員会
最優秀助演俳優賞 森⼭未來

最優秀主演俳優賞

岡本玲『茶飲友達』

受賞理由

主⼈公・マナの、深いまなざしが忘れられない。純粋に真っ直ぐに愛を求めるからこそ、すれ違ってしまった家族との関係に苛⽴ち、社会からはみ出されてしまう⼈たちに寄り添いたいと願うマナは、慈愛に満ちていながら、どうしようもない怒りと悲しみを抱えている。

複雑な⾃分の⼼情と絶えず闘いながら、他⼈に寄り添うという⼈物像を、これほどまでに魅⼒的に演じることができるのかと感嘆する。

重要な役どころを、確かな演技⼒と表現⼒で体現し物語に深みをもたらした功績を讃えたい。

 

最優秀助演俳優賞

中村ゆり『市⼦』

受賞理由

社会に呑み込まれながらも⾃分なりに必死に⽣きてきた⺟親・なつみを演じる。

主⼈公・市⼦の壮絶な⼈⽣の幕をあけた張本⼈であるなつみは、物語を牽引する⼤きな要素である。他者を頼り、時には利⽤しなければ⽣き抜けないと腹を括った⺟親が、⾃分に対する絶望を滲ませた表情を忘れることができない。

娘たちの⼈⽣を⽬の前に置きながら、⾃らの⼈⽣のみを選択したなつみという⼈物を、誰が責められようか。その⽂脈を、説得⼒を持って表現し切っていた。

細やかな⼈物表現と確かな演技⼒に裏打ちされた存在感そのものが⾼く評価された。

 

最優秀助演俳優賞

森⼭未來『ほかげ』

受賞理由

戦争が終わっても、⼈々を蝕んだその影はいつまでも濃く⻑く⽣き続けていく。

その呪縛に囚われながら、戦後の焼け野原を歩き、⽣きる術を探すテキ屋の男を演じる。

その気魄に、ただただ圧倒されてしまう。

決して⽬に⾒えることのない、それでも決して消えることのない戦争のヴェールが、男を覆っているのが体感として感じられる。

その⾁体を持って、全霊で、表現し尽くす男の存在感は、唯⼀無⼆という⾔葉以外に表現できない。死と⽣命⼒の双⽅を体に宿し、⼈間を変えてしまう戦争の惨さと罪を⼀⾝で演じ上げた凄みと⼒量に賞賛の声が集まった。

高崎映画祭受賞歴

第24 回(2010)最優秀助演男優賞『フィッシュストーリー』

 

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