高崎のまちなかが美術館に
(2023年10月31日)
「アートプロジェクト高崎2023」10.28~11.26
今年もストリートのあちこちにアート作品が展示され、まち歩きが楽しくなる「アートプロジェクト高崎2023」が開催される。
今回9回目となる都市型アートイベントのテーマは「響き合う『空間』のダイナミズム」。県内外の30人の作家が参加し、初参加者は21人。26点の展示作品のうち、空間を意識した立体作品が12点で、鑑賞する側の感性を存分に刺激する。コロナ禍で実施できなかったアートパフォーマンスは4組が出演する。
開催に先駆けて、10月26日に4名のアーティストと一緒にアートを鑑賞しながらレクチャーを受ける<事前レク>が行われた。
高崎モントレーの壁面を飾るのは、ナカミツキさんの作品。iPhone画面に指で描いたデータを拡大出力し貼り合わせ、横11メートル×高さ6メートルの壁画にしている。10代前半に後天性の半身麻痺となった時期に、片手で持てるiPhone画面に、身体から沸き起こる衝動を描き続けたことが現在の活動につながっているという。完成した作品は一見すると一枚の絵のようだが、こまやかな線や面をパーセンテージを変えながら何層にも重ね、質量感や物質感を高めている。「デジタルとアナログの間を行ったり来たりしながら、楽器や音楽を通して非言語的なものを表現した」と話す。
OPAから高崎髙島屋へ続くペディデッキの天井に、今回が4度目の参加となる渡辺香奈さん(高崎市在住)の作品が、過去の作品の延長線上に貼られ、全長25メートルの天井画を形成している。今回は猫をモデルにした4作品をピックアップ。もとになった作品はA4サイズの油絵。渡辺さんは「中国では猫や蝶は長寿の象徴で、てんとう虫やトンボは吉祥のシンボル。この作品を見上げ、猫さんの数や、隠れモチーフを探してみても面白いかもしれません。どうぞ首にはお気を付けて」と楽しみ方を提案する。
スズラン前のタブノキに、梱包材のPPバンドを柵のように張り巡らす装飾を施したコンテンポラリーアーティストの中島崇さんは、「当たり前にそこにある空気や光の存在を再認識する機会にしてほしい。高崎は街のサイズ感がいいですね」と話す。アートを通して地域と人と文化をつなぐ活動を続けている。
高崎城址の石垣をバックに、圧倒的な存在感を誇る6メートルを超えるワラの巨大牝牛。わらアートを各地で制作している松本勇馬さん(高崎市出身)の作品。協業したボランティアが作成したワラの反物は70枚に上ったという。
その後ろの石垣の白壁には、おとぎ話から飛び出したようなお菓子のドラゴンが半身をのぞかせている。「フェイククリームアート」の第一人者として知られる渡辺おさむさんの作品。思わず触りたくなるような可愛らしさにあふれている。「戦争や不況など暗い話題が多い中、夢のある世界を届け、少しでも明るい気持ちになってほしい。来年の干支であり、隣の”飛龍の松”碑からの着想もあって龍を作成しました」と話す。
それぞれのアート作品には、作家の想いやストーリーが込められている。インターネットなどで情報にアクセスしたら、作品をより深く味わうことができ、作家に親しみや共感を覚えそうだ。
【アートプロジェクト高崎2023(APT2023)】
期間:10月28日(土)~11月26日(日)
会場:高崎中心市街地(高崎モントレー、連雀町ビル、慈光通り、大手前通り)
主催:高崎アートインキュベーション推進会議
共催:高崎市、公益財団法人高崎財団、一般社団法人高崎観光協会
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