職場環境改善事業を活用(2)

(2021年09月29日)

田村屋・シミズプレス

株式会社田村屋

株式会社田村屋は、和え物や煮豆といった和風惣菜から寿司・弁当、おはぎ等の菓子類、各種サラダなど洋風惣菜まで幅広く手がける業界屈指の惣菜専門メーカー。おふくろの味にこだわり本物指向の惣菜づくりに取組んできた。一日に5~6万の製品を製造し、県内はもとより関東一円、福島・新潟・長野・愛知地域のスーパーマーケット約1,000店舗に惣菜を供給している。

「惣菜を手作りしているので、弊社の工場には一般家庭の台所と同じような調理器具があります。蒸す・焼く・揚げるための11個の釜がある加熱室は従来、室温が40℃近くになることがあり、ミネラルを含んだ冷たい飲料がとれるドリンクサーバーを置くなどの対応をとっていました」と話すのは、職場環境の整備に中心となって取組んでいる服部正常務。

 

同社では昨年「職場環境改善事業補助金」を活用して、加熱室に冷房用のスポットエアコンを導入し、5カ所に冷風の吹き出し口を設置した。「設備会社から提案してもらった工事を完了し、作業者周辺の温度を20℃程度に維持できるようになりました。加熱室は一日二交代制で延べ15人が働いていますが、各人の作業効率も向上しています」と、補助金制度に感謝する。

 

同社では、おひとり様需要に対応して一品の量を減らしたり、地域によって同じメニューでも塩分を控えめにしたりするなど、消費者や顧客のニーズに柔軟に対応することで、生産量を拡大している。職場環境の改善による作業効率の向上はもちろん、従業員の資格取得をバックアップすることで、商品開発力の底上げにも努めている。

 

昨年より自社農園を運営するようになり、収穫した野菜を食材の一部として使用。「新鮮な野菜は歯ごたえがちがいます。農家が減ると、必要な食材が手に入りにくくなるので、自社で農業に取組みながら、若手の就農家の支援もしていければと考えています」と、食を広い視野でとらえた事業を展開していく。

株式会社田村屋

高崎市八幡原町442

TEL.027-346-4555

 

 

株式会社シミズプレス

株式会社シミズプレスは、金属プレス加工・スエージング加工分野で精度の高い独自技術を確立し、高品質の製品づくりを行っている。

 

昨年、「職場環境改善事業補助金」を活用し、工場内の空調施設を更新、増設した。作業場所にダクトで風を送る局所冷房を取り入れた。

「昔に比べて夏の暑さは異常で、工場内の暑さは厳しい。今は家庭も学校もエアコンが設置されています。エアコンのない環境は考えにくいのですが、当社の場合は工場内の全館空調とはいかず、これまでも換気などの対策を行ってきました」と清水紀幸社長は話す。

 

業態によって工場の全館空調が難しい場合もある。シミズプレスの例では、入口はフォークリフトが行き来するために開口部が大きく、電動シャッターとなっている。工場全体を冷房しても荷物の搬出入の際に外気が入り、冷気が逃げてしまう。工場の気密性を保つのが難しく、空調効率が落ちる。

 

そこで清水社長はダクトで作業者に冷風を送る方式を採用し、効率的な暑気対策を行った。大型の空調機を2台導入し、天井部の配管からそれぞれ5カ所と9カ所にダクトを分岐させて、吹き出し口を設けている。冷風が直接当たるので体感温度が下がり、快適な作業環境となった。

 

「中小企業は経営資源が限られ、設備投資は生産設備が優先されがちです。暑さ対策は必要と感じていても、後回しになってしまうのが中小零細の実情です。高崎市の『職場環境改善事業補助金』は上限500万円なので、補助金額も大きく、考えてきた暑さ対策を実現することができました。以前と比べ全然違うと、社員からも好評です」と笑顔で話す。

 

これまでも職場環境を改善するために、屋根の断熱塗装、工場内の換気のための改良工事を実施している。夏季の熱中症対策として、首に巻く冷感タオルの使用やこまめな水分補給の励行、気温が30度を超えた日は午後の休憩時にアイスクリームを配付するので社員から喜ばれているそうだ。毎年、群馬産の自家製の梅干しを20㎏も用意している。

清水社長は「自動車のEV化により受注も変化しています。当社の強みである高精度の技術を生かし、医療機器分野のニーズに応えていきたい」と話す。

 

 株式会社シミズプレス

高崎市倉賀野町2987

TEL.027-320-2880

 

高崎商工会議所「商工たかさき」2021年5月号

高崎の都市力 最新記事

  • 株式会社環境浄化研究所
  • シネマテークたかさき
  • ラジオ高崎
  • 高崎市
  • 広告掲載募集中