金曜日だけオープンする手作りハム屋さん

(2021年09月29日)


ハム工房 Ticca Tocca(ティッカ・トッカ)

箕郷の丘の上に金曜日だけオープンする手作りハム屋さんがある。名前はTicca Tocca、店頭には山椒の新芽入りボロニアソーセージ、マンガ肉など食欲をそそるメニューが並ぶ。お店の代表は戸塚 里子さん。

大学で畜産製造学を学び、卒業後は大手食品メーカーに就職。お肉の加工技術の研究開発や、商品開発などを担当していたが、2016年、出産と夫の群馬への転勤を機に退職した。

 

「子どもを産んで、それまでの価値観が大きく変わりました」と話す戸塚さんは出産の際、母子ともに命の危機にあったそう。幸い二人とも無事で、それ以来、子どもを第一に考え、出来るかぎり家族と一緒に過ごすことを決意。食肉加工で働く道を模索し始める。

県や商工会議所の創業塾にも通いつつ、2017年ごろからママ友向けに食肉加工を知ってもらう会を主宰。これは現在では対象を広く一般向けに変え、「ハムとかを作る会」として月1回のペースで実施している。

 

自宅を建てる際にハム工房も併設し、2020年2月にTicca Toccaがプレオープン。製造工程はすべて戸塚さん一人で行っている。子どもが保育園にいる昼間や、寝静まった深夜に仕事をして、ようやく商品が完成する。

メーカー時代と一番違う点は、自分のアイデアを形にして、自由に商品を作ることができるところ。メニューを固定したほうが負担を減らせるが、ついつい面白くなり色々な商品を作ってしまうそう。ご近所さんの庭や畑の食材を使ったメニューが並ぶこともあり、お客さんからのリクエストも受け付けている。

 

「私の両親は建具屋で、NHKのラジオ深夜便を流しながら夜中も仕事をしていました。私もラジオ深夜便を聴きながら工房で働いていると、両親と同じだなぁと感じて嬉しくなります」。

戸塚さんが中学生のころ“そんなに働かないで休んでほしい”と両親に話すと、二人は「お金のためだけにやっているのではなく、お客さんのためにやっているんだ」と答えたそう。その言葉がとても印象的で、いつか自分も同じように、お客さんの喜ぶ顔が見えるよう、自営で働いてみたいという思いも起業した動機の一つだ。

 

お客さんの“おいしい”が聞きたくて、試行錯誤を重ねて出来あがる戸塚さんオリジナルのハムやソーセージ。お肉の味が強く残り、食べ応えのある食感が特長だ。ぜひ一度味わってみてほしい。

 

「夫は掃除と洗濯の担当です。店舗の整備などもお願いしています。最近では、ご近所の友人にスライスと包装の工程に参加してもらっていて、周囲の助けがあってこそ、今のスタイルでお店を続けられているんだな、と強く感じています」。

 

 

ハム工房 Ticca Tocca

代表 戸塚 里子さん

住所:高崎市箕郷町柏木沢2202-1

営業時間:毎週金曜日10:00〜15:00

E-mail:ticcatocca86@gmail.com

Facebook:@ticcatocca86

 

高崎商工会議所「商工たかさき」2021年9月号

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