SDGsを経営に生かす(1)
(2021年08月31日)
SDGs達成へ「行動の10年」スタート
SDGsはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2015年9月にニューヨーク国連本部で開催された国連サミットで採択された。国連に加盟する193か国が2016年から2030年の15年間で達成することを目標に、17のゴールと169のターゲットで構成される。
SDGsに法的拘束力はなく、各国が目標の達成を自らの課題として国内の枠組を確立することが期待されている。
SDGsの実施と成否は、各国が独自に策定する持続可能な開発関連の政策、計画、プログラムにかかっており、今後15年間のSDGs達成に向けた進捗についても、主たる責任は、各国にあるとされている。
2020年1月、SDGs達成のための「行動の10年(Decade of Action)」がスタートした。
SDGsと企業「サプライチェーン全体でCSR」
これまで、日本企業は国際課題について関心が希薄であったとも評されるが、企業の社会的責任(CSR)を果たす上で、地球温暖化や貧困の問題など社会的な責任を企業活動の本業の中で追求しようとする動きが高まっている。
気候変動はすでに、大規模な自然災害、公衆衛生、食料と水、居住や平和と安全に大きな影響を与えており、企業もその責任を担っていることを明確にすることが企業の評価につながっている。
企業が資材および原料などを調達するにあたり、品質・性能、価格、納期に加え、環境、労働環境、人権などに配慮しているかを要求項目に加え、サプライチェーン全体で社会的責任を果たそうとする考え方が広がっている。例えば、最近では人権の観点から「新疆綿」の使用の是非を問う報道があった。
中小企業においてもグローバル化が急速に進展しており、SDGsによって国内外の企業がビジョンと目標を共有し、成長を目指すことが重要と考えらえている。
SDGsの企業行動指針「SDGコンパス」
SDGsを導入する企業の行動指針としてSDGコンパスが作成されており、関連ウェブサイトからダウンロードできる。「SDGs は、なぜ企業にとって重要か」を示し、「ステップ1SDGs を理解する」「ステップ2優先課題を決定する」「ステップ3目標を設定する」「ステップ4経営へ統合する」「ステップ5報告とコミュニケーションを行う」で構成されている。
SDGコンパスは、おそらく規模の大きな企業を想定し、日本語としてもやや難解。中小企業の取り組みとしては負担感が大きく、選択的な活用が効果的と思われる。
中小企業においては、経済産業省「SDGs経営ガイド」、事例集として群馬県「SDGsぐんまビジネスプラクティス」先進事例が活用できるのでは。
高崎商工会議所「商工たかさき」2021年8月号