DX入門(3)DXを活用したビジネス展開

(2021年03月30日)

顧客のリスクチェックにAI活用


AI活用で契約書レビュー

たかさき法律事務所は、弁護士8名が所属する群馬県内有数の規模を誇る法律事務所だ。同事務所では、2020年から、契約書のレビューや作成にAIを活用したクラウドサービスを利用し、業務改革に取り組んでいる。

 

主に利用している機能は自動レビュー機能。企業間などで締結される秘密保持契約書や業務委託契約書の内容確認に利用する。契約書案に抜けている項目やクライアントにとって不利な条項がないか、そのリスクの洗い出しが中心となる。

 

たかさき法律事務所は多くの企業の顧問であるため、日常的に契約書のレビューを手がけている。その中でも弁護士の田島慎太郎さんは事務所内で最も多く、年間300件以上も契約書をレビューしており、業務の効率化を切望していた。

 

現在導入しているクラウドサービスでは、たとえば20条ほどからなる契約書案であれば、わずか30秒ほどで概ね30~40件の指摘事項が抽出される。だが、田島さんによれば、「指摘事項が非常に多いので、指摘事項を無視するか、反映させるとしてどのように反映させるかなどの判断には経験を積んだ弁護士等の力が不可欠です」と話す。

 

導入の狙いと効果

当初の導入目的は作業の効率化によるレビュー時間の短縮化であったが、実際に導入してみると、時間短縮の効果は期待したほどではない一方で、レビューの質は確実に向上しているという。

 

田島さんは、AI導入以前、よく見かける契約の類型毎にチェックリストを作成し、そのチェックリストを活用することでミスを低減するよう努めていた。「チェックリストはミスを減らすために非常に有用であり、現在も業務の様々な場面で利用しています。しかし、ミスはどんなに注意しても決して無くなることがありません。そのため、定型的な条文の漏れやミスを自動かつ確実に洗い出してくれるAIの存在はとてもありがたい。AIの導入により、定型的な条文の漏れやミスを確実に無くすことができ、その分のエネルギーを固有の事情の検討や反映に割くことができるのでとても助かっており、レビューの質の向上につながっています」。

 

今後は、過去に事務所内で作成したオリジナルの契約書をクラウドサービス上に蓄積し、ノウハウの共有と全体のレベルアップを目指す。「クライアントが専門家に求めるサービスの質は日々高くなるもので、要望レベルが低くなることは決してありません。そのため、先行投資等により先回りして業務の質の向上を図る取り組みが必要不可欠です」と田島さんは話す。

 

たかさき法律事務所

代表  長井 友之さん

高崎市請地町11-6  2階

電話:027-325-9123

 

高崎商工会議所『商工たかさき』2021年3月号

 

 

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