逆境で進化「ウィズコロナ」の飲食業(2)
(2021年02月27日)
「新しい会食」の方向は―きめ細かな工夫と接客
リスクを下げる会食の提言
新型コロナウイルス感染症対策分科会の政府提言で、感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫がまとめられた。
提言では、感染リスクが高い場面として、飲酒を伴う場面では、「お酒の影響で気分が高揚すると同時に注意力が低下する。大きな声になりやすい。狭い空間に、長時間、大人数が滞在すると、感染リスクが高まる。回し飲みや箸などの共用は感染リスクを高める」ことが指摘された。
感染リスクを下げる工夫としては、会食は少人数・短時間で行う、深酒・はしご酒はひかえ適度な酒量にすることが盛り込まれている。また座る時は、お互いの正面や真横を避け、斜め向かいにすると感染リスクが低いこと、飲食する時だけマスクを外し会話の際は再びマスクを着けることが提起されている。不特定が集まる居酒屋では、大声で騒ぐなど感染防止マナーの悪い場合は、他のお客様に不快感を与えてしまう。
配席はソーシャルディスタンス
テーブルではお客様同士が一定の距離を保ち、エチケットを心がけてもらう感染予防をお願いしており、サンフラワーの宮田さん、スワンの作能さんのお話では、時節柄、快く理解を得られ、節度のある会食が実現できているそうだ。
スワンでは、食卓は大きめのテーブルを使用し、8人から10人掛けのテーブルに4~5人を配席するなど定員を2分の1以下としている。
テーブルとテーブルのソーシャルディスタンスも配慮、お客様同士が1m程度離れるか、斜め向かいの配席とする。
おしぼりは、布おしぼりの使用は止め、紙おしばりを提供する。また、マスク入れも用意している。
食事のポイント
宴会名物「ビールのつぎ回り」は危険!?
大皿に盛って各テーブルでお客様が取り分けていた盛込み料理、会場内取り分け料理やビュッフェといった提供方法は行わず、一人ひとりに分けて配食するように変更している。そうすることで、箸の使い回しを防ぎ、デカンタ、トング・レードル(ひしゃく)等、お客様が手で触れて共通使用しないようにできる。
コーヒーなどのミルク・砂糖は個包装のポーションミルク・袋入リシュガー、パンのバターも包装バター等を使用し、使い回しや飛沫防止対策を行う。
ソースやドレッシング等も調理場で、料理人またはサービスマンが、料理にかけてから配膳する。配膳後は、なるべく早く食べていただくようにお願いする。
ドリンクはドリンクカウンターを設置し、お客様一人ひとりに個別提供する。卓上には個々に小瓶などで提供する。ビールの大びんを持って、席を回ってあいさつする宴会恒例の光景があるが、リスク避けるために遠慮していただく。
飲み残し、食べ残しなどの残滓は、従業員への感染防止のため、適切に廃棄処理する。
受付や音楽・司会・装花等も対策を
会場受付にはアクリルパーティションを使用する。主催者のニーズに応じて、受付では非接触型体温計や健康管理表の記入などにも対応できるようにしている。
司会席では、アクリルパーティションを使用する。マイクは消毒し、司会者が交替する場合はマイクカバーを取り換えて使用してもらうよう徹底する。
結婚式での親族友人の余興では感染防止対策に配慮してもらう。会場内の装花、バルーン・看板設置等についても委託事業者と連携をはかる。
付加価値を高め顧客満足アップを
会食時間の短縮に対応するため、ショートコースや肉と魚の合い盛りメイン料理など、ニーズに応じた料理の提供を行う。また弁当スタイルの「会席膳」も好評という。会議などでは、弁当を持ち帰りいただくのも選択肢となっており、重箱、折り詰め、二段重ね、和風、洋風など、用途に合わせて様々な商品開発が進んだ。
「事前に主催者・幹事さんと十分な打ち合わせを行い、顧客満足を高めていきたい」と作能さんは話している。
イベントなどは半年先、1年先の企画が動き出しており、国内外の感染状況の推移を想定しながら、集客型からオンライン開催まで複数の実施パターンを準備しているという。
高崎商工会議所『商工たかさき』2021年2月号