ナリヒラ酵素と独自農法で特許取得
(2020年12月30日)
株式会社ナリヒラ
ナリヒラ酵素を軸に特許取得
昭和42年に造園業として創業した株式会社ナリヒラ。社長の長野正弘さんが食品化学メーカーで微生物を研究していたことから、キノコ菌の力を応用し「ナリヒラ酵素」を開発した。長野さんはナリヒラ酵素が植物を活性化させる効果を高崎健康福祉大学研究室の分析で実証し、更に研究を深めて特許を出願。ナリヒラ酵素の機能性と新たな農業ビジネスの可能性を「商工たかさき」平成19年1月号で紹介した。
取材時に出願中だった特許が平成20年5月に取得でき、長野さんは更なる取り組みを展開する。
長野さんは、ナリヒラ酵素を使った「ナリヒラ農法」の普及活動を行いながら、酵素の研究を継続し、ナリヒラ酵素で農作物の細胞内にたくさんの乳酸菌を含ませる方法を発見した。
ナリヒラ酵素は、野菜のえぐみ(不快な苦みなど)の原因となる硝酸イオンを減らし、糖度を高めることが分析データでも示されている。長野さんは、作物中の硝酸イオンが乳酸菌を阻害していることに注目し、ナリヒラ酵素と植物性乳酸菌による「乳酸菌入り野菜の栽培方法」を考案し、平成31年4月に特許を取得した。ビジネスモデルとして、第6回「ぐんぎんビジネスサポート大賞」(2019年4月発表)の奨励賞を受賞した。
乳酸菌入り野菜を展開
「ナリヒラ酵素と乳酸菌入り野菜の栽培方法の二つの特許を取得できた。継続性、発展性のある特許を生かしていきたい」と長野社長は語る。現在は生産者と「乳酸菌入り野菜の栽培方法」をライセンス契約し、ブランド展開している。契約農家も募集中だ。
乳酸菌入り野菜は、糖度やビタミンなど様々な有効成分が従来の栽培方法に比べて豊富に含まれていることが成分分析によって示されている。例えば、乳酸菌入りタマネギは、血液さらさら成分として話題になったアリシン様物質が一般品の3.6倍も含まれており、人気商品になっているそうだ。
「食べていただければ、おいしさの違いが実感できると思います」と自信をもってオススメしているが、この玉ねぎは今年は3トン生産し、既に品切れという。
プレミアムなブランド野菜を世界に発信
現在、同栽培方法で玉ネギ、ワサビ菜、ホウレン草、トマトなど9種類の野菜が生産されており、小規模の露地栽培で付加価値の高い野菜づくりができるという。
乳酸菌入り野菜は、「ナリヒラ農法 乳酸菌入り野菜」のシールが貼られ、高崎じまんや高崎市がシンガポールで展開する高崎ブランド、百貨店などで販売されており、農家の収入増加に貢献しているそうだ。
「ナリヒラ農法は農薬や化学肥料を使わず、安心安全で健康づくりに貢献できます」と長野さんは語る。
生産者や生産品目を増やし、一箱に多種の乳酸菌入り野菜を入れてセット販売していく構想も持っている。「コロナ対策、温暖化対策が地球規模で重要となっています。高崎の農業を世界に羽ばたかせたい」とブランド展開していく考えだ。
株式会社ナリヒラ
代表取締役 長野 正弘さん
高崎市浜川町391-5
TEL.027-344-3887
営業時間 9:00〜17:00
定休日:土・日・祝日
高崎商工会議所『商工たかさき』2020年11月号
「チャレンジ」に登場したあの人たちの今