コロナ対策で持続化補助金が拡充(1)
(2020年08月30日)
販路開拓・売上増加へ直結
持続化補助金でコロナ対策も
会議所が計画づくりを全力サポート
「小規模事業者持続化補助金」が、これまでの販路開拓等の用途に加え、新型コロナウイルス感染症対策に対応したビジネスプランの策定や感染症対策に必要な資機材の導入に活用できるよう、大きく拡充された。
持続化補助金の公募要領・申請書様式・記入例などは以下のサイトからダウンロードできる。
http://www.jizokukahojokin.info/
小規模企業の顧客拡大を後押し
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等の販路開拓や生産性向上など、持続的発展を図ることを目的に経済産業省が実施する補助金事業で、取り組み経費の一部が補助される。
この小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が商工会議所・商工会のサポートを受けながら経営計画書、補助事業計画書を作成し、審査を経て採択が決定されるのが特徴で、これまでも多くの会員企業に利用いただき好評を得ている。
申請にあたっては経営計画や経営目標として「顧客ニーズと市場の動向」、「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」、「経営方針・目標と今後のプラン」の作成が必須で、経営を見直す機会となっている。
このほど、新型コロナウイルス感染症対策のために、制度内容が大きく拡充されたので、コロナ禍を乗り切るための補助金としても大いに活用できる。
持続化補助金でコロナ対策を
具体的には、これまでの「一般型」に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者向けの「コロナ特別対応型」が創設された。
更に、各業種の感染防止ガイドラインによって、コロナ対策を実施する事業者に対しては、「事業再開枠」が設けられた。これによって補助上限額は50万円(一般型)をベースに、コロナ対策に関連する取り組みの費用を上乗せすることができる。補助率は3分の2または4分の3となっており、コロナ対策を計画している事業者については、自己負担を大きく軽減してくれる制度になった。
また「特例事業者」として、ジム、カラオケ、バー、接待を伴う飲食店がコロナ対策を行う場合などが優遇されている。接待を伴う飲食店など風営法に該当する事業に対する補助金は限られることが多いことから、新型コロナウイルス感染症拡大によって影響を受けた事業所に幅広く活用してもらえる制度となっている。
特例事業者である場合の申請も、通常の小規模事業者持続化補助金と大きな違いはない。
公募回数も増加
これまで小規模事業者持続化補助金は、年間の公募回数が限られていたが、「一般型」については概ね4カ月ごとに公募が行われている。
「一般型」「コロナ特別対応型」の公募は、令和2年3月以降、それぞれ第4回までの実施が発表されており、これから間に合う公募締切は、「一般型」が第3回2020年10月2日(金)と第4回2021年2月5日(金)、「コロナ特別対応型」は第4回2020年10月2日(金)となっている。
「一般型」については、更に2023年6月まで4カ月ごとの公募が予定されている。
直近の6月に締め切りとなった「コロナ特別対応型」の採択結果では、高崎商工会議所が申請支援を行った事業者は69件で、その内62件が採択となった。
高崎商工会議所は、10月2日申請を希望する事業者を対象に相談を受け付けている。
経営計画に初チャレンジが6割
経営計画は持続化補助金の申請で初めて作成した経営者が申請者全体の約6割となっている。経営計画の策定によって、「自社の強み・弱みが明らかになった」、「新たな事業を企画できた」、「事業を見直すことができた」、「自社の事業に優先順位をつけることができた」という経営者の声が届いており、経営意識に変化が生じている。
取り組みの成果が弾みとなって、他の補助金や支援制度に関心を持ち、更に事業を広げていこうという意欲にもつながっているようだ。
まぎらわしいので注意を「持続化給付金」と「持続化補助金」
―持続化給付金と持続化補助金は別物-
「小規模事業者持続化補助金」は、略して「持続化補助金」と呼ばれている。現在、申請が行われている「持続化給付金」と名称が似ていて紛らわしいのだが、「持続化給付金」は、新型コロナウイルス感染症の拡大で営業自粛などの影響を受ける事業者に対して、事業全般に広く使える給付金を給付するもの。給付金は要件を満たせば申請により給付される。
「持続化補助金」は、経営計画書、事業計画書に基づく使途に限定しており、給付金ではないので審査があり、不採択になる場合もある。
また、取り組み経費の一部から補助金額を確定し、原則、完了後に後払いで交付されるので、一度は費用全額を支出する必要があり、補助率により差額分が自己負担となる。
高崎商工会議所「商工たかさき」2020年8月号