昔ながらの素朴なおいしさ
(2020年06月30日)
東煎餅なかの
三代にわたり受け継がれる創業百余年の煎餅屋
大正5年にあら町で創業した「東煎餅なかの」。うるちの丸い煎餅やソース小丸をはじめ、もち米で作るおかきやあられなどを種類豊富に展開している昔ながらの煎餅専門店だ。
一口に煎餅といってもその原料はさまざまで、うるち米やもち米から作るものもあれば、地域によっては「瓦煎餅」や「南部煎餅」などのように小麦粉を用いたものもある。同店では、初代の修業先のルーツが関東にあったことから「草加煎餅」のように丸いうるちの煎餅を看板商品に掲げている。
「煎餅の個性を決めるのは原料となる米粉の製粉加減にある」と語るのは、三代目ご主人の中野隆司さん。「うちのお煎餅は少し粗めに挽いた米粉がこだわり。堅すぎず、それでいて食べ応えもあるようにサクサクとした食感に焼き上げています」と創業以来老若男女に好まれてきたおいしさの秘訣を語る。
一枚一枚店内で仕上げる懐かしくて素朴な味が人気
東煎餅ならではの定番の味を楽しみたいなら、海苔、昆布、唐辛子、青のり(白醤油)、大丸(醤油)、宇治、白雪の7種類の詰め合わせがオススメ。なかでも宇治と白雪は、練り込んだ宇治抹茶や白砂糖を一枚ずつ刷毛で塗ることで煎餅の表面をきめ細かい砂糖の層が覆い、まるで和菓子のような仕上がりが美しい。
また、一口サイズのソース小丸も、二度塗りするオリジナルソースがポイント。独自にブレンドしたスパイスと味に深みを持たせるために加えたザラメで甘辛く仕上げたソースは、子供の頃に駄菓子屋で親しんだような、どこか懐かしい味わいが楽しめる。パッケージに採用されている米袋も、つい手に取りたくなるかわいさだ。これら自慢の味を詰め込んだギフトセットの用意もあるため、お世話になった人への贈り物や、ご挨拶の手土産として役立ててもらいたい。
「こだわりがないことがこだわりです」と豪語するご主人だったが、実は選りすぐりの醤油や自家製の蜜やソースによってさりげない個性が発揮されていることに気づく。それこそが、素朴ながらも世代を越えて永く親しまれる味の秘密なのだろう。
東煎餅なかの
中野 隆司さん
高崎市あら町2-4
TEL.027-322-2282
高崎商工会議所『商工たかさき』6月号