産学の技術で抗ウイルス製品開発/群大ベンチャー

(2020年04月10日)

群大・板橋教授と明清産業・山田社長(県庁記者クラブ)
開発素材の応用例

新型コロナウイルス感染拡大防止に向け

群馬大学の技術を生かしたベンチャー企業・株式会社グッドアイ(桐生市)と株式会社明清産業(前橋市)は、新型コロナウイルス感染症拡大を防止する効果が期待できる銅繊維シートを開発し、4月8日に群馬県庁記者クラブで記者会見を行った。

 

群馬大学大学院理工学府教授でグッドアイ会長の板橋英之さん、株式会社明清産業の山田徹社長が会見した。

 

発表によれば、この銅繊維シートは、群馬大学が出願した特許技術をもとに、銅箔でコーティングしたポリマー繊維に可視光応答型の光触媒を担持(たんじ=触媒の微粒子を付着させること)したもので、抗菌・抗ウイルス効果があるという。

 

2020年3月に米国カリフォルニア大学とプリンストン大学の共同研究で新型コロナウイルスの生存期間は付着した場所の材質で異なり、プラスチックやステンレスは48時間から72時間であるのに対し、銅の表面は4時間と極端に短くなることが指摘されている。

銅などある種の金属に殺菌作用があることは、古くから知られている。

今回開発した繊維に用いた可視光応答型の光触媒は、細菌やウイルスのタンパク質を分解するもので、高い抗菌・抗ウイルス効果が報告されており、大腸菌を使った群馬大学の実験によると、この銅繊維シートは銅単独の場合の1000倍の殺菌効果が確認されている。

 

新型コロナウイルスと同じタイプのRNAウイルスにも効果が見込めるという。現状では、実際に新型コロナウイルスを使った実験ができないため、今後、新型コロナウイルスでの効果を検証していきたいとしている。

 

この素材の応用例としてオーバーマスクが試作された。ウイルスが体内に侵入するリスクとして、ウイルスが付着した手でマスクや顔を触ることが指摘されていることから、今回開発したシートでマスクの上に付けるオーバーマスクを作って着用することで、感染リスクの大幅な低減が期待される。

 

このシートの応用としては、粘着テープに加工すれば、スイッチ類やつり革、ドアノブなど不特定多数の人が触れる場所に貼付なども考えられる。

オーバーマスクは素材のコストが1500円から2000円で市価には加工賃などが加算される。5月中には販売にこぎつけたいという。殺菌効果は半永久的に持続する。

 

「新型コロナウイルス感染拡大防止の切り札になり、早く製品化したい」と板橋教授は話す。

 

明清産業は銅箔糸など通信・電子機器用導線メーカーで、現在、銅繊維シートの生産に急ピッチで取り組んでおり、板橋教授と山田社長は、このシートをマスク等に加工できる企業を募っている。問い合わせはinfo@gudi.co.jpまで。

 

 

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