新春対談 若者が夢と憧れを感じるまち高崎
(2020年01月24日)
上段左=細谷社長・鈴木社長・赤尾社長 下段左=児玉会頭・富岡市長
パネラー
児玉正藏・高崎商工会議所会頭
(株式会社小島鐵工所代表取締役会長)
富岡賢治・高崎市長
赤尾佳子・赤尾商事株式会社代表取締役
鈴木 宏子・共和産業株式会社代表取締役
細谷可祝・細谷工業株式会社代表取締
若者が行きたいまち高崎に
■富岡賢治高崎市長:あけましておめでとうございます。旧年中は行政への信頼を損なう事件があり、申し訳ない気持ちでいっぱいです。自らを戒めるとともに、高崎をこれまで以上に発展させるためにがんばっていきます。
■鈴木宏子社長:あけましておめでとうございます。私どもは自動車の次世代エンジン、ロケットなど航空宇宙産業用の機器、医療機器などの開発製造をしています。
■赤尾佳子社長:あけましておめでとうございます。私どもはガソリンスタンド、産業用燃料、潤滑油、LPガスなど石油製品を主に扱っています。
■細谷可祝社長:あけましておめでとうございます。私どもは冷凍冷蔵、空調、給排水衛生設備などの設計、施工、メンテナンスを行っている設備工事会社です。
■児玉正蔵会頭:あけましておめでとうございます。高崎は地方都市の中でも発展を続ける稀有な都市だと思います。高崎は古くから交通の要衝として栄え、首都圏と北信越を結ぶビジネス都市として発展を続けています。
■富岡市長:地方都市というと、まちに人が歩いておらず、人口も減少しているというイメージがありますが、高崎はそうしたイメージを打破する都市になっていると確信しています。
今年は、その流れを加速していきたいと思っています。
■児玉会頭:県内外の商工会議所の会議で「高崎はにぎやかでいいですよね、うらやましいですね」と言われます。
■富岡市長:高崎市の小売業・卸売業の都市別ランキングは引き続き全国14位で、高崎市は中核市トップ、政令市を含めても真ん中くらいの順位です。「働きたい街ランキング」は関東20位で、東京都心以外では、横浜、千葉、さいたま、高崎です。
高崎商工会議所にお願いをしている通行量調査では、減少してきたまちの通行量が、7年前から回復し、昭和50年の水準まで戻りました。企業、商店の皆様にがんばっていただいている結果です。
■鈴木社長:お得意様が高崎に来られると、住みやすい、いいまちですねと話しています。
■赤尾社長:転勤で来られた方が、高崎は暮らしやすいので、定住された方を何人も知っています。
■細谷社長:テレビ番組でJOYさんなど高崎出身の芸能人が活躍して、高崎を話題にしてくれるのも効果的のようです。何かおもしろいことがあるまちと期待感もあるようです。
■富岡市長:若者が渋谷に行こうとか言うように、何か刺激的なことがあり、高崎に行こうと言われるエキサイティングなまちにしていきたい。
■児玉会頭:もうそうしたまちになっていると思います。高崎まつりの時は身動きができないほどの人が集まっています。
■鈴木社長:高崎アリーナで行われるコンサートに私どものお客様が県外から来ていたりします。高崎って面白いまちだって言われます。
女性が輝く企業づくり
■児玉会頭:地方企業の課題は人です。従業員の確保は市内企業の一番の課題だと思っています。
■富岡市長:高崎スマートIC産業団地や大きな商業施設ができて、大きな雇用が生まれていますが、まだまだ人手が足りないようです。
■児玉会頭:全国的に人が足りないのでしょうが、高崎でも人材の確保が難しい状況ではないでしょうか。
■細谷社長:採用は男女を分けていませんが、事務は女性が殺到し、技術の仕事はなかなか女性がこない。会社としては女性ウェルカムなのですが。
■赤尾社長:求人を営業職とすると、なかなか女性が応募してくれません。
■鈴木社長:機械工学を専攻する女子学生が少ないので、女性の採用は難しいと思っていました。
■赤尾社長:事務職希望でも、営業職に意欲を見せる女性もいます。学生の時に、働く女性に接する機会があると考え方も変わってくるのではないでしょうか。学生さんと交流を持っていきたいと思います。
■細谷社長:採用が大変だった時代に、先代社長の父が初めて設計の技術者チームに女性を採用しました。それがわが社の技術部門で女性の力を活用した始まりです。事務職で応募した女性を技術系の仕事に誘ったところ、やってみようという例もありました。その方は会社を明るくしてくれ活躍しています。
■鈴木社長:ものづくりを希望する女性を二人採用したのが呼び水となって、女性が15%になりました。男性しかいなかった職場が、柔らかくなり相乗効果もすばらしい。社内結婚も増えるといいなと思います。やる気がある文系女子も社内教育で学んでもらい、製造部門で活躍しています。
■赤尾社長:思った以上に、男性社員と女性社員が協力し、成長しようという雰囲気が生まれています。
■鈴木社長:女性が輝くと男性も輝きます。
■細谷社長:コミュニケーションが高まると業績も良くなると実感しています。
■赤尾社長:消費の80%は女性が決定権を持っているそうです。世の中のトレンドは女性が作っていくと思っています。もっともっと女性の感性や能力が発揮されると、会社が良い方向に行くと思います。
子育て世代が働きやすい高崎
■富岡市長:高崎市内では企業の従業者が毎年2千人ずつ増えていますが、残念ながら人口は2千人増えていません。その理由を調べたら、住民票を高崎市に移していないということがわかりました。家族ぐるみで来てもらえるまちにするためには、教育や医療、子育て環境を整備しなくてはいけません。企業の皆様も女性が働きやすい環境づくりに努力されていますし、高崎市では保育所も増設し、待機児童ゼロを実現しました。子育てが終わったら仕事にカムバックできるように応援したいです。
■鈴木社長:カムバック、ウェルカムです。
■細谷社長:女性も含め、社員に辞めてほしくないという気持ちは強く持っています。子どもを預けることが順番待ちになっていては、なかなか仕事に戻れない。
■富岡市長:少なくとも保育所に入れるのに苦労することは解決しています。人口が増えている地域では保育所を増やしています。
■赤尾社長:女性がキャリアを積んで能力を身に付けても、結婚や出産で仕事を辞めてしまうのは、企業にとっても大きな損失です。
■富岡市長:赤ちゃんは、今日、大事な会議があるという日に熱を出したりしますよね。病児保育も1カ所から4カ所に増やしました。また子どもを預かる託児所を田町の子育てなんでもセンターに開設しましたがとても人気です。預ける理由は不問で、コンサートでも冠婚葬祭でもいいですし、たまにはゆっくり買い物もしたいでしょう。子育て世代の市民活動の参加にもつながります。
■細谷社長:高崎に転入してきた社員は、実家が遠方で相談相手が身近にいない場合もあるので、高崎市の取り組みは、本当にいいことだと思います。会社でも、高崎市の子育て支援の情報をキャッチして、伝えていければいいなと思いました。
■富岡市長:子育てSOSサービスも創設しました。電話をもらえれば、二人一組でお手伝いに駆け付けます。一番要望が多かったのは部屋の掃除で、2番目は料理だそうです。子育てに疲れて、掃除や料理もできない、手が回らないというのです。がんばってくださいねと声をかけると、涙を浮かべるそうです。子育てにやさしい高崎をつくりたいと思っています。
■鈴木社長:子育てに手がかかるのは小学校3年生か4年生まででしょうか。それまでの期間を企業も応援できればいいと考えています。小学校高学年になると、子どもから手が離れるので、そこからはエンジン全開で仕事に取り組んでもらえます。
■児玉会頭:高崎市は子育て施策、介護施策においても先進的で、子育て世代が安心して働く環境が整っています。人材不足の解消につながればありがたいです。
ブランド力を高め海外展開を
■富岡市長:高崎アリーナを訪れるアスリートや指導者から高崎市の感想を聞きますと、市民の歓迎がうれしいということと、高崎はビューティフル、まちがきれいだと驚いているようです。高崎は路地に入ってもきれいです。産業も盛んで、かつ美しいまちはあまりないそうです。高崎まつり・花火大会では60万人、70万人の来場者がありますが、翌朝にはごみ一つ落ちていません。学生や、若手経営者、市民のみなさんがボランティアでやっているのです。これはすごいことで、びっくりしています。
■児玉会頭:高崎に赴任されている支社長さん、支店長さんのお話を聞きますと、高崎は人柄が良く、外からの人に対してフレンドリーで、仕事がしやすいというのです。江戸時代からの商都として、商人の気持ちを共通して持っているのではないでしょうか。高崎の印象を良くしている理由の一つではないでしょうか。
■富岡市長:高崎のものづくりの実力を海外で示そうと、これまでインド、東欧、シンガポールで実施しました。今度は畳職人など伝統技術を海外に紹介したいと思います。高崎産農産物の海外展開も取り組んでおり、販売会社をシンガポールに設立しました。榛名のジャンボ梨が瞬く間に売り切れになりました。
■児玉会頭:高崎の果物をブランド化し、付加価値を高めて海外に展開する方向性はとてもいい考えだと思います。当所も高崎市、ジェトロ群馬貿易センターとの連携を強化し、昨年6月には植物由来の食材のみでメニュー化をはかるヴィーガンプロジェクトを開始したほか、今年2月にはブラジル・サンパウロで高崎産品のプロモーションイベントを実施予定です。管内事業所の国際化に積極的に取り組み、今年も市内企業の海外展開ニーズに対応していきたいと考えています。
ユニーク施策でにぎわいと回遊性創出
■富岡市長:高崎アリーナ、高崎芸術劇場に続いて、4月に県のGメッセ群馬が開館し、有機的につながると、より盛り上がると思います。
■児玉会頭:高崎商工会議所は高崎市と協力し、にぎわい創出や回遊性の向上に取り組んでいます。
■富岡市長:高崎は、若い人たちががんばってパスタで有名になりました。
■鈴木社長:アメリカから取引先が来ますが、皆さんスパゲティがおいしいと言います。ピザのお店もすばらしいと言っています。
■赤尾社長:高崎ではホテルが足りないと指摘され、大きなイベントがあると泊まれないということは残念ですね。
■富岡市長:ホテル誘致は課題として取り組んでいます。高崎は普通の観光政策でなく、ビジネスと半日観光とか、芸術劇場でコンサートと半日観光を楽しんでもらうとか組み合わせになると思います。
■児玉会頭:高崎市のぐるりんタクシーは、本当にいいと思います。商店の売上増だけではなくて、お年寄りが利用されて、福祉面でも効果がありますが、全国でもあまりやられていないでしょうね。
■富岡市長:高崎市が初めてです。
■児玉会頭:市長はいろいろなアイデアを出されます。
■鈴木社長:高崎市のぐるりんタクシーでAIも含めた無人化、自動運転の実験ができるとすばらしいイノベーションにつながると思います。
■富岡市長:中心市街地のぐるりんタクシーがうまくいったので、郊外に広げていこうと思っています。地域の中で最寄りのバス停や医院、歯科医などをつないだコースを考えています。
■赤尾社長:群馬県では高齢になると行動範囲が狭くなってしまうので、公共交通や新しい移動手段が充実すると良いと思います。
■細谷社長:母が高齢で免許を返納する時期になって、病院にも行っていますし、移動する手だてが少ないので、無料で安心して使える交通手段は本当にいいことだと思います。観光で来た人たちも使え、どこでも乗れて、どこでも降りられるのがいいですね。
高崎の強みを生かし輝く都市に
■富岡市長:高崎は音楽のあるまちですが、私の世代はアメリカのメンフィスが憧れです。
■児玉会頭:エルヴィス・プレスリーですね。
■鈴木社長:市長、お好きなんですよね。
■富岡市長:私の次の世代はリバプール、ビートルズです。メンフィスやリバプールのように若者が集まるまちにしたい。タゴスタジオから高崎サウンドを生み出したい。浜川運動公園を拡張し、高崎出身のウィンブルドン選手・清水善造のメモリアルテニスコートをつくっています。センターコートが日本中の若者の憧れになる施設にしようと思っていて、そういう光ったまちにするのが私の夢です。種々の施策を進めていくためには、安定した商工会議所の存在がとても大きいです。
■赤尾社長:今年はオリンピックもあります。経済も回り、活性化する年になってほしいと思います。
■細谷社長:いつも高崎が大好きだという気持ちでいっぱいです。富岡市長の他に類をみないユニークな施策を拝見してきて、私もそういう会社経営をしたいと思ってきましたし、社員が働きやすい会社にするためにがんばりたいです。
■鈴木社長:共和産業は「高崎発世界へ」を掲げ、技術で世界と勝負しています。小さいながら高崎の金字塔の一つをめざし、まちづくりに貢献したいと思っています。高崎は、女性の社長さんが多い、これほど女性社長がいるまちはないと言われます。
■児玉会頭:私ども商工会議所の使命は中小、小規模事業者の支援です。北陸の石川、富山とも連携していますし、宇都宮、前橋、水戸と高崎の4市でビジネスマッチングや東京都内の百貨店で食品販売なども実施しています。今年も高崎の強みを更に深める事業を実施していきたいと思います。
高崎商工会議所「商工たかさき」2020年1月号
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