着物の魅力を全国に届ける
(2019年10月31日)
きものサロン逸美
「お召しになる方の立場や個性、出かける場所などが着物選びの大事なポイントです」『きものサロン逸美』を経営する、逸見早苗さんの言葉だ。
「着物は生地の織り方や模様ごとに、格式や着るべき季節が決まっています。呉服屋の仕事は、出かけた先でお客様が、どう見られるのが最適か、それをご提案することです」と逸見さんは続ける。
今日、市場に流通している着物の6割近くが、インクジェットプリンターで柄や模様を印刷している中、同店では職人の手で織り、染めたものだけを扱っている。「小さな店ですから、多種多様なニーズには対応できません。本物志向の品だけを届けたいのです」。
本格的な商品で目利きの顧客を引き付ける同店だが、物が売れない時代、お客様の高齢化も加わり、悩みはつきない。
そこで、逸見さんは新しい取り組みを始めている。その一つがWEBの活用だ。オンラインショップや、インスタグラム、Facebookを使い、幅広い地域に商圏を拡大している。名工の技で作られた商品の質は口コミで東京の編集者にも伝わり、全国版のきもの雑誌に衣装提供を行うことも多い。雑誌やネットを見て、東京や埼玉から来店するお客様も増えてきている。
また、気温が高い夏場はどうしても着物の売れ行きが鈍る。そこで江戸時代の技法で作られた浴衣の生地を使ったquoti(コティ)というオリジナルワンピースを企画。試験的に販売したところ、完売した。
着物の世界では職人の高齢化が進み60代で若手といわれ、存続が危機的な状況だそうだ。「海外、特にヨーロッパでは着物の価値が認められていることもあり、日本人が世界で戦う勝負服になります。失くすには本当に惜しい文化です。着ることで着物文化を応援していただきたいです。それに、着物は日本人の体を美しく見せてくれますからね」と逸見さんは語る。
素敵な着物があっても、高崎には着ていく場所がない、というお客様の声もあるそうだ。「先日オープンした高崎芸術劇場に着物を着て行ってみてはどうでしょう」と逸見さんはコメントする。我こそはと思った方、ぜひ逸見さんのお店を訪ねてみては。あなたにぴったりの着物を選んでくれるはず。
きものサロン逸美
住所:高崎市旭町25 山崎ビル1F
TEL:027-324-3466
営業時間:11:00〜19:00
定休日:毎週水・木曜
https://kimono-henmi.com